この冬、東三河では宇連ダムの水が枯渇し、取水制限や節水の呼びかけが続きました。岡崎市内でも給水車から供給された地域もあり、水の大切さを身近に感じた方も多かったのではないでしょうか。そこで、今号は岡崎の「水」について知るきっかけをご紹介します。
岡崎市で供給される水道水の約76%は、市内の川や地下水という「地元の水(自己水)」でまかなわれており、全国的にも誇れる数字です。なかでも男川浄水場は市内で使われる水道水の40%以上を担っており、その水源域は市内東部に広がる森林です。つまり、岡崎の森を守ることは、岡崎の水を守ることそのものなのです。
この大切な水と森のつながりを未来へ紡ぐため、岡崎市上下水道局では「未来へつむぐ岡崎の水プロジェクト(通称:水プロ)」を進めています。2020年に水道関連企業と協定を締結し、現在は11社とともに水源林の保全と活用に取組んでいます。間伐体験や水源調査などを通じて、森の役割への理解も着実に広がってきました。
現在は活動拠点を「桑谷山」に定め、より多くの人が関わる取組へと展開しています。今回の「水と森の座談会」では、これまでの取組を共有し、今後の方向性について多様な立場から意見が交わされました。
今回、りたは水プロの周知と活動の広がりを目的に、企業、行政、研究者、市民など多様な主体をつなぐ役割を担いました。これまでに培った関係性を活かした参加の声掛けをはじめ、座談会の進行、パネルディスカッションの調整、ワークショップの設計、事前打合せなどを行い、意見を出し合いやすい場づくりを支えました。また、アンケートの集計や意見整理を通じて、参加者の声を今後の活動に活かせる形にまとめました。こうした取組により、対話を実践へとつなぐ土台づくりを担いました。
11/18「未来へつむぐ岡崎の水と森の座談会」を開催
座談会には、企業、研究者、市民、行政職員など約80名が参加し、水プロの取組を広く知ってもらうとともに、今後の活動を多様な立場の人と一緒に考える場となりました。東京大学大学院教授蔵治光一郎氏の基調講演では、森林の状態が水資源に与える影響について科学的な知見が示され、「森を守ることが水を守ることにつながる」という理解を深める機会となりました。続くパネルディスカッションは、桑谷山をモデルに森林を「負の遺産」から「楽しい資産」へ転換する可能性が議論され、水プロ企業・大学などの研究機関・森林組合などの森の専門家・行政のパネリストとともに、市民の連携の必要性が確認されました。

後半は参加者がグループに分かれ、「学ぶ」「活かす」「守る」「広める」という水源涵養に必要な4つの視点をもとに具体的なアイデアを出すワークを行いました。森の学校の開催や自然観察会、星空観察、探鳥会など、楽しみながら森に関わる企画が多く提案されました。また、こうした活動を通じて子どもから大人まで幅広い世代が関われることや、継続的な参加につながる工夫の必要性も共有されました。
座談会を通じ、桑谷山を単なる自然体験の場にとどめず、関わる人が増え、価値を生み出し続ける拠点として育てていく方向性が見えてきました。同時に、多様な主体が対話を重ねながら進めていくことの大切さが確認され、今後の具体的な取組へとつながる一歩となりました。
2/6 連絡調整会議ワークでさらに具体化
座談会で出た意見を具体的な活動につなげるため、その後の水プロ参加企業の連絡調整会議でも話し合いが行われました。ここでは主に企業の担当者が中心となり、桑谷山での活動内容や進め方について検討しました。
その結果、年間を通じた取組として、市民が参加できる「オープンディ」と、企業が中心となって行う「ワークディ」を組み合わせる方針が決まりました。森の調査や整備、成果の共有などを段階的に進めていくことで、無理なく関わり続けられる仕組みをつくろうとしています。また、学校との連携や親子で参加できる企画など、市民参加を広げるアイデアも出されました。こうした工夫により、単発ではなく継続的な活動につなげていくことが目指されています。

これからどうする?
今回の取組を通して、水を守るためには森を守ること、そしてそれを多くの人と一緒に進めていくことの大切さがあらためて見えてきました。企業・行政・市民・大学がそれぞれの強みを活かして協力することが、これからますます重要になります。今後は桑谷山での活動を積み重ねながら、関わる人を増やし、続けやすい仕組みを整えていきます。体験や学びの機会を広げ、水と森への関心を少しずつ着実に育てていくことも、大切な一歩です。
水は、毎日の暮らしに欠かせないものです。桑谷山から始まる動きが地域全体・流域全体へと広がり、安心で安定した水の供給が未来へ紡がれていくよう、りたは多様な関係者をつなぎながら、継続した活動が市民の中に根付いていくことを目指し、これからも動き続けます。
活動拠点「桑谷山」とは?

市の南東部に位置し、市街地からアクセスしやすく、豊かな自然と多様な生態系を有する桑谷山。針葉樹と広葉樹が共存し、水源林としての機能だけでなく、学びや体験の場としても高いポテンシャルを持つ。また、駐車場やトイレなどの既存施設が整っており、再活性化の可能性が高い場所でもあります。降った雨は森にしみ込んだ後、山綱川→竜泉寺川→乙川、そして男川浄水場で水道水の原料となる。






