岡崎市は、2030年度までにCO2排出量の50%削減、2050年度までにはCO2排出量を実質ゼロ、すなわちカーボンニュートラルとなるゼロカーボンシティの実現を目指しています。
たとえば、中央クリーンセンターおよび八帖クリーンセンターで発電される電気を岡崎市の公共施設を中心に供給している【株式会社岡崎さくら電力】や、自転車をシェアする【ハローサイクリング】など、再生可能エネルギーの活用や身近な生活の中での行動変容を促し、CO2の排出を抑える取組が広がってきています。
そんな中、りたは2023年度より、岡崎市環境部ゼロカーボンシティ推進課と共に「カーボンニュートラル人材育成事業」に取り組んでいます。
今号では、次世代を担う子どもたちが環境意識を高めたり、環境問題に関する知識を深めたりするだけでなく、具体的な行動や思考を身に着け、実践していく人材の育成を図るために企画・作成した体験型環境プログラムについてご紹介します。
地域特性を踏まえた講座プログラムづくり
カーボンニュートラルの実現に向けて、これからはモノを選ぶ際の基準として、価格や味、用途やデザインだけでなく、どれだけCO2を出しているかという視点が大切になってきます。そこで、小中学生向けに、身近な「水」「ファッション」を題材にした講座プログラムを作成しました。なお、テーマ選定やCO2排出量の計測など、グリーンフロント研究所株式会社の協力を得て企画を進めました。

水
岡崎市には、ほぼすべての流域が市域に含まれる乙川や、その本流・矢作川が流れていることから、岡崎市が自前で調達できる水の割合(自己水率)が周辺自治体と比べて高い。
ファッション
岡崎市では、明治から昭和にかけて、紡績・繊維産業が盛んだったが、現在でも使用済の衣料などから繊維を再生・リサイクルする反毛(はんもう)事業者が多く存在している。

Litaracy126で紹介したように「高校生まちづくりプロジェクト」の協力を経て、講座プログラムを試験的に実施し、時間配分や言い回し、受講者の反応などを踏まえたうえで、教材を改善。より理解しやすいものに仕上げていきました。
気づきを行動変容につなげる出前講座



5月15日(水)、岡崎市立北野小学校の5年生の1クラスを対象に「水」編の出前講座を実施しました。「地球温暖化」や「カーボンニュートラル」という言葉をなんとなく聞いたことはあるものの、具体的な内容まではよくわからないという生徒が多い中、まずは、岡崎市の水道水、国産ミネラルウォーター、外国産ミネラルウォーターの飲み比べ体験からスタートしました。どの水がおいしかったかという問いに対して、半数程度の生徒が水道水を選んでいたのが、印象的でした。最近子どもたちの「水道水離れ」をよく耳にしますが、この飲み比べを通じて、児童たちに「水道水もおいしい」という発見をする機会を提供できました。その後は、地球温暖化についての基礎知識やCO2排出量がどのように計測されるのかの仕組みを学んだ上で、自身が摂取している飲料から排出されるCO2を算出しました。具体的に数値としてみることで、地球温暖化を自分事として捉えられることができ、プログラムの最後に実施した「アクション宣言」では、明日から自分でできるCO2排出量削減に寄与するアクション(行動変容)を真剣に考える生徒たちの姿が見られました。
行政・市民・企業一丸で脱炭素実現へ
講座プログラムを作成していく中で、市内にカーボンニュートラルに資する活動を行っている企業が多数存在することがわかりました。そこで市内在住・在学の高校生有志でそうした企業を取材するライターチーム「CO2バスターズ」を結成しました(Litaracy132参照)。執筆された記事は追ってご紹介します。
りたは今後も、子どもたちや若者、企業や市民団体と行政が協働し、一丸となってカーボンニュートラルを達成する土壌づくりに尽力していきます。
